三宅島
三宅島で開催された「モーターサイクルフェスティバル」開催にこぎつけるか危ぶまれたイベントでしたが、なんとか無事に開催され予定されたプログラムを終了することができました。
この「お祭り」が成功だったのか失敗だったのか、いろいろなご意見があったようですが、まずはスタートを切ることに意義があったわけで、前に進むことができたという事だけでも成功であったと思います。
また、いずれは「マン島TTレース」のように島一周公道レースの開催ということですが、これにはまだ数年の実績作りが必要なのではと感じたのも事実です。
そんな状況の中にあって、スタッフや参加者が決められたルールをきちんと守っていたのもいずれは公道レースへの強い気持ちの表れであったと感じた次第です。
さて、オートバイ大好きの私にとって、このイベントを仕事で楽しませていただいたことは何より幸運なことでした。
中でも公道を一部閉鎖して行われた「ツーリスト・プロ」を走行するレーシングサイドカー(レーシングニーラー)には、カルチャーショックとでも言うような鮮烈な印象を受けました。
車に限らずオートバイにしても、その姿形は左右対称シンメトリーであることが決まりです。ところが説明するでもなく、サイドカーは片方がオートバイで片方が船という究極の不完全な乗り物なのです。
実際街で見かけるサイドカーはこのスタイルをとっており、あまり興味の沸く乗り物と感じていませんでした。
しかし、レーシングサイドカーを間近で見たとき今まで持っていたサイドカーに対する感覚が大きく変わりました。
一言で言ってしまえば「めちゃくちゃ格好いい」です。
アン・シンメトリックでありながらどこから眺めても機能美に溢れ一分の隙も見せない姿は美しいと言っても過言ではなく、まぎれもなくレーシングマシンのオーラを発散させていました。
今回のイベントでは、一台の自作マシンを除き全て「LCR」というスイスのレーシングサイドカーメーカー製のシャーシで、モノコックタイプとフレームタイプに大別できますが、特にモノコックタイプにいたっては、前後のサスはマルチリンク(ダブルウイッシュボーン?)でレーシングスリックをキャンバーを付けてはめ込み、おまけに前後のタイヤは整列していないなどオートバイに船を付けたというよりも四輪フォーミュラカーを真っ二つに割り、倒れないように横にタイヤを付けたという表現がぴったりです。
また車でもオートバイでもない一番の特徴は、ドライバー(ライダー?)一人ではまともに走れないところにあります。
ドライバーの操作に合わせ、パッセンジャーが常に左右に身体を乗り出して最良のバランスを取り続けるという作業が必要で、そのダイナミックな体重移動がレーシングサイドカーの魅力でもあります。
今回のイベントでは、今年100年を迎えた「マン島TTレース」に出場された選手にいろいろと話を伺い、サイドカーに対する疑問・質問に丁寧に説明を受けることができ有意義な時間を過ごすことができました。
だからといってレーシングサイドカーの世界に挑戦したみたいなどという考えはありませんが、あの「クラウザー・ドマニ」というサイドカーが「LCR」の設計であることを知り手に入れてみたいなどという物欲が湧いてきたのは事実です。
もう一点このイベント中に体験した事を書いておかなければなりません。
今回のイベント中は私自身オートバイを走らせ仕事?をしていたのですが、機会があってGL1500を走らせてみました。
現在はGLシリーズもフルモデルチェンジして1800ccになっていますが、この巨大なオートバイには今まであまり興味がありませんでした。
理由は簡単で、オートバイを操縦する爽快感はまずないだろうということです。
しかしです、それが食わず嫌いであったことを知ってしまったのです。
三宅島一周道路はところどころの居住地区を除けばいたるところ箱根並みのワインディングロードになっていますが、同僚の走らせる前後ワイドラジアルタイヤを履いたモトに十分食らい付いて走れるのです。
もちろん見た目通りで、深くバンクさせると左右のステップは容易に接地してしまいますが、1500ccの排気量に物を言わせ、シフトダウンせずとも湧き上がるようなトルクで加速することができますから、あっという間に引き離される悔しさを味わうこともありませんでした。
そのコーナリングも、比較的浅いバンク角ですがコーナー進入からフルバンクに持ち込めば、そこそこのスピードを維持して抜けることは可能で、十分にスリリングなライディングは可能ですから不足するフレーム剛性を予め知っておけば進路を乱されることもありません。
さあ、この10年以上前に製造された1500でさえこれだけ走れてしまうのですから最新の1800に対する期待が高まってしまうのも無理はないところです。
聞いたところによると、GL1500で指摘された部分についてはほとんど対策されたのがGL1800だそうで、特にフレーム剛性に関しては飛躍的な向上があるそうで期待して間違いはなさそうです。
GLというオートバイは、最高速度、加速性能、あるいはコーナリング性能など一つの項目だけとらえてしまうと驚くべきものはもっていませんが、乗ってしまうと
「それがどうした」
の一言でかたずけられてしまうスケールの大きさを感じてしまいます。
更にその感覚を高めてくれるのが水平対抗6発エンジンの奏でるサウンドで、およそオートバイのものと思えない独特のサウンドを響かせます。
その感覚を表現するならば、上等な別珍で(古)耳元を撫でるような何とも心地良いものです。
来年2月から08モデルの予約が開始されるそうですが、とりあえず予約だけは入れてしまおうと決心してしまった次第です。
終わってみれば、禁断の果実をかじってしまったような物欲の炎に油を注ぐ今回の出張となってしまいました。
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この行事で三宅島にいらっしゃっていたのですか。高回転を維持して走るのも楽しいですが、時には太い低速トルクでもって余裕で走るのもまたよろしいかと。
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まさに、です。
ただし、べらぼうに高いお値段を知ってしまうと考えてしまいますが、あのサウンドを聞いてしまうと後先考えずに踏み込んでみたくなってしまいました。
フラット6は悪魔の囁きです。